佐渡へ行きたし、だが…。

3年ぶりに、鼓童のアースセレブレーションが佐渡で観客ありで始まる。819日、20日、21日の3日間。規模は縮小されたけどハーバーマーケットもある。

アースセレブレーションにkaffaを誘ってくれたのは、「ちゃかぽこ洞」のこうちゃんだ。それから連続10回、ハーバーマーケットに出店した。kaffaにとっての夏の佐渡島は、かけがえのない、正月とか春とか、お盆とか以上の大きな区切りで、何かを燃やして灰にしてきれいなものに一部入れ替えるような大事なものなのです。ちょっと宗教的と言って良いかも知れません。

2012年

ここ数年、コロナ前の数回は、EC1週間前に佐渡入りし、様々な方々のお世話になりながら居候し、息子や若い友だちに手伝ってもらったりしながら、竹を刈り、汗をかき、海で遊び、佐渡のごはんを食べ、竹を運び、23日かけて竹のコーヒー屋を作り、汗をかき、また海に浸かって、温泉に入って、佐渡の何かを食べる、という滞在でした。

会場に運び込む。真夏!
犬たちのスペースも必要。

こう書いてしまうとまるで楽園のようだが、本人はヘトヘトです。とにかくとんでもなく暑いです。真夏の竹刈りと、遮るものがない日当たり。息も絶え絶えな感じで、炎天下、竹を切ったり貼ったりしながら店を作る。これがとても面白いのだが、とても辛い。が、誰に命令されてるわけでもなく勝手にやっているので、無理だと思えば海に入って蘇ることができる。佐渡の海は温かくて綺麗で最高ですから。

日照り作業と海水浴により、ハーバーマーケットオープン時には真っ黒というか、真っ赤に焼け上がっております。で、ギリギリに店は完成する。

マーケットがオープンする頃には、僕は抜け殻みたいになっている。しかし、kaffaの本番はここから始まる。で、3日間、朝から晩までコーヒーを淹れ続けるのだ!その合間、空っぽの身体と心に生の「三宅太鼓」が響いてきたりします。これは響きます。

小高い城山公園に野外ステージを組み立て、そこで3日間、多彩なゲストと鼓童がライブする。

ハーバーマーケットは基本朝10時~夜11時まで。だが、2日目からは、朝からコーヒーを飲みたい人々、キャンプしてた人々、ホテルから朝の散歩に出てきた人々、地元小木の爺様や婆様方、ハーバーマーケットに出店している、年に一度会う仲間?たちが、コーヒーを飲みに来てくれる。そうこうしてる間に、港に直江津からのフェリーが到着する。アースセレブレーションのお客さんがどっと下りてくる。みんなワクワクしている。下船後のコーヒーを飲んでいただく。そうして気がつくと、延々とコーヒーを淹れている。

フリーのフリンジでの演奏が始まる。何かしらの生音が聴こえてくる。城山から時折、鼓童のリハーサルであろう音が聴こえてくる。マーケットの楽器屋で、店主と鼓童メンバーが太鼓叩いている。昼時で、飲食店は大忙し。ちゃかぽこ洞の2人はまたケンカしてる。カリンバ売っているはずの人が、路上、焚き火で中華鍋ふるって採りたてのイカスパゲッティ作って売ってる。マーケットは、鼓童のライブを観にきた人々、島中からマーケットを楽しみにやってきた人々でごった返す。クラフト系の作家さんたちが、とても面白いマーケットなので。無国籍感?多国籍感?ワンアース!ピース!みたいな。

2012年。こうちゃんとあきちゃんのちゃかぽこ洞に間借出店。

船が着く度に、といっても一隻が往復しているので6時間毎位なのだろうけど、その度にお客さんが増えてゆく。

夕方が近づくと、城山に向かって人々が移動し始める。城山コンサート目指して来ているテント出店のみなさんもお店を閉めてマーケットから消えてしまう。でも、そこからは島の若い人々が繰り出すお祭りになる。夏休みで帰って来た若者、地元に残った若者、それぞれが夏の夜の祭りを楽しんでいる。「コーヒー屋さん、久しぶり‼️」と島の人に声をかけていただく事もある。ワイワイガヤガヤの夜市だが、城山から時折鼓童の音が聴こえて来る。

暗くなり、ライブが終わるのが20時位なのだろうか、城山から鼓童コンサートから人々が下りてくる。みなさんそれはもう、はっきりとした素晴らしい表情で、あれはもう、鼓童の太鼓の振動で空っぽにされた上にポジティブな鼓童の魂みたいなもの(佐渡から、ひとつの地球へ)を注ぎ込まれて来たように見える。平和でエネルギッシュな顔。太鼓というのはやはりすごい力を持っているんだなあと思います。

アースセレブレーションでは、そんな3日間を過ごしていました。子どもたちは幼児期から中学生まで、夏はここで三日三晩のお祭りを楽しんでいました。年に一度、ここでだけ会えて遊べる友だちが何人か居ました。その子たちと朝から晩まで、会場周辺で遊んでいて、夜中に人様のブースの地面で寝ている我が子を発見する事もありました。幼児から小学生、時々中学生のお兄ちゃんお姉ちゃんたちが、朝から晩まで、果ては朝まで、野放しのマーケット。子どもにとっては、それはもうとんでもない解放区だったと思います。よくぞ無事で乗り切ったものです。佐渡の神様はとても優しい。

店内お客さま休憩室。子どもたちの溜まり場。

そして3日目の夜、「また来年❗️」という挨拶を多くの人たちと交わしながら、撤収作業にはいる。ダラダラと朝まで。

お盆から、佐渡島はどこに行っても生音の太鼓、笛、三味線、滲み入る唄、美しい踊り、美しくはないが楽しい踊り、佐渡の美味しい食べもの、水、空気、海、風土と一体の人々、言葉。お盆過ぎると、鼓童のアースセレブレーションでの太鼓、ドカンドカンと燻り残った何かも吹き飛ばし、ポカンと残った空間に、「鼓童の送り太鼓」がとても優しいあったかいものを流し込んでくれる。

夏の佐渡島でのそういう印象の重なりが、ひとつの大きなエネルギーになって、kaffaの心身を更新してしまうような気がします。

でもコロナで2年間佐渡に行っていない。今年こそは!の今年だった。

当初、8月はほとんど佐渡で過ごす計画だった。ECのハーバーマーケットは、今年はキッチンカーのみの募集だったのでECへの出店はかなわなかった。でも、「佐渡のお店の一角でコーヒー淹れない?」みたいな渡りに船なお誘いもいただいたので、お盆前から佐渡入りして、適度に営業しながら8月いっぱい佐渡にロングステイ!と思ってました。

旗色が変わったのは、78日から始まった東京在住の子どもたちのコロナ感染でした。ほぼ同時に、身近な知り合いで、次々に感染の話が伝わってくるようになりました。おおむね、重症化することも少ないらしいのですが、軽症であっても、経験から言うと、発症したら1週間は動けない、少なくとも普通には食べられないほぼ寝たきり状態になると思います。もちろん、発症しない人も多いと言います。僕も子どもたちの看病を覚悟の上でやったのですが、発症しませんでした。

この先月の経験とその後の東京、首都圏と群馬の状況を見ると、この波はかなりヤバいなあと思っています。

佐渡島は、夏休みの観光客がいっぱい訪れていると思います。佐渡島も観光地ですから、とても大変なここ数年でしょう。今年の夏こそは!という島全体の期待もあるのではないでしょうか?広報なんかを見ても「ウェルカム‼️」みたいな感じでしょうか?お盆が始まり、今年は3年ぶりの帰省の島出身の方々も多いのではないでしょうか?そして、お盆に引き続くアースセレブレーション。

佐渡島では、これから感染が拡がると思います。既に始まっているのですが、許容範囲がわかりません。

僕は、先々週辺りから、ほぼ毎日、佐渡市のコロナ新規感染者数をチェックしています。先週辺りから20人以上が連日です。今週、来週とどの位のスピードで増えていくのか不明ですが、減る事は暫くないのではないか?と思います。

佐渡島の医療機関にとっての許容範囲はどの辺りにあるのだろう?佐渡でも4月頃?の第6波では2050人以上の新規感染者があったみたいで、それで大丈夫だったのだろうけど、どこまで大丈夫なんだろう?

8月後半には連日100人を超える感染者!みたいな状況は想定されているのだろうか?

大抵の人は、安静にきちんとケアされれば大丈夫なので、問題は少数のやばい状態の人が必要な医療にかかれる状態を保てるか?だと思うけど、大都市ではそれは既に崩壊しつつあるみたいだ。実態がわからな過ぎるけど。

佐渡島は離島だ。大きな病院もあまりない。どこまで準備されているのか、全くわからない。

今、僕が悩んでいるのは、

「これからコロナ感染が爆発的に増えると予想される時期にわざわざ外部から半分商売で長期間、それも居候の身で、離島である佐渡に滞在すること」の是非です。

僕と妻が直接佐渡へウイルスを持ち込むことは明確に「非」です。

佐渡で感染し、結果的にウイルスを拡げる一因になるのも「非」です。

佐渡滞在中に発症したとしたら、まず、「帰れない」。船に乗れないのだと思います。発熱者は乗れないと思います。ではお金があったとして、ホテルや旅館は泊めてくれるのでしょうか?そういう人専用の宿泊施設があるのでしょうか?沖縄ではそんな人がレンタカーを借りて車中泊でしのいでいるという例も聞いた。

これが、離島が他の観光地とは大きく違う点だ。

地続きだと、僕ら夫婦が滞在先でどちらかが発症した時点で、車で直ぐにどこへも寄らずに自宅に帰る事ができる。自宅まで帰れれば、あとは何とか、なりやすい。

佐渡では。居候滞在である。発症したら、居候先のご家族、周囲にとんでもない迷惑をかける事になるのは必至である。どこか人気のない素晴らしいロケーションで隔離キャンプも可能かも知れないが、40度の発熱者とキャンプもあまりワクワクはしない。犬たちもいるのだ!

佐渡はどうするんだろうか?アースセレブレーションが終わって、発熱して帰るに帰れない観光客がいるんじゃないだろうか?それが自分たちかも知れないのだ。

僕の予想では、佐渡での感染のピークはアースセレブレーション前後にぶつかってしまうんではないか?と思っている。

今年も佐渡の夏を諦めるのか?

まずは、810日位にと考えていた佐渡入りは諦める。

次に考えられるのは、せっかくだからアースセレブレーションに間に合うタイミング、具体的には818日に佐渡入りする。その時の佐渡島での感染状況によっては、可能かも知れない。

場合によってはアースセレブレーションも諦めて、その後に1週間位居るというのもあるかも。小木港まつりもあるし。若い友だちが、羽茂高校郷土芸能部で演るので観たいというのがあります。佐渡島には若い友だちが2人居て、この2人が居るというのが佐渡に行きたい大きな理由のひとつなので。その1人が羽茂高校郷土芸能部で、踊ったり、太鼓叩いたりしている。

先週、東京で高校生の郷土芸能部の全国大会があり、彼らが出演するというので観に行った。実は、高校生を舐めていて、知り合いのよしみで行っただけなのだが、彼らの出番を挟んだ数校の演技を観たが、度胆を抜かれた。まあ、全国の精鋭だったわけだけど。それにしても。若くて元気で溢れるエネルギーに満ちた完璧な太鼓集団が続々と。君たちは鼓童か?と聞きたくなるようだった。と思ったらロビーには鼓童のブースが!斉藤栄一さんがいらっしゃった、鼓童にスカウトとかあるんでしょうか?

まあ、それはさておき、羽茂高校郷土芸能部の演目は、佐渡おけさ中心の民謡と踊り。女性の唄い手さんが2人。三味線3人、鼓1人、踊り手数人という編成。佐渡のお盆にあちこちの集落で会える組み合わせ。素朴だけど完璧な伴奏に絶妙な2人の声、鍛え上げられたのであろう美しくて上品な踊り。最も「郷土芸能」の伝統による美しさの伝承がはっきりと表現されてたのは、羽茂高校郷土芸能部の演技だったと思います。派手さはなかったけれど、艶やかで上品で美しい演技でした。あの美しさの違いを高校生自身がたぶんわかっているのだろう。彼らは普通の我々が踊る姿と、自分たちのどこが違うのかハッキリ知っているのだろうと思うと、すごいなあ。さすがに、まだそこらじゅうに郷土芸能が風土ごと、人ごと生きている佐渡の若き精鋭たちである。

鼓童の良さも結局そこにある。佐渡に在ること。まだ残っているものごと。佐渡島は、すごい。

と、ここまで4日間くらい書き足して長くなってしまいました。

土曜日にこの夏最後の出店予定イベント「イタリアの朝市~夜市」でした。気心の知れた出店者さんたちと、懐かしいお客さんたち、コロナでご無沙汰な日々でした。kaffaも、東京への往復仕事があり、地元群馬でコーヒーを淹れる事が少なくなっていますし。

この日は、新らしいショップカードのデビューでした。いつものちゃいさんに作ってもらいました。とても気に入ってます。動物たちで肩の荷が重いkaffaです。一応、コーヒー屋です。

そう、このイタリアの夜市でも、日頃から「今年の夏は佐渡で過ごす!」と宣言しまくっていたので、会う人会う人、「あれ?まだ居たんですか?」とか、「そろそろいくんですか?」とか、「いつ、行くんですか?」とか聞かれました。

予定では、このイベントを終え、準備し、明後日頃に佐渡入り、だったのです。本来なら、今、準備におおわらわだったはずです。

昨日の佐渡島での新規陽性者数は、72人(過去最大)でした。これからさらに増えるでしょう。アースセレブレーションはどうなるんでしょう。

そこに僕は居たいのか?居たいならたぶん居る。まずは、次の予定の18日まで様子を見るしかない。

そう、いろんな人に聞かれて、ちょっとしかめっ面しつつ、「うん、それがさあ、今悩んでてさ。」と話始めると、大抵の人が軽い驚きを示す。「そんなの気にしてたんですか?」みたいな。僕は、わりと気にしている、子どもたちの感染以来。

で、離島であることの特殊性に関しては、行こうと考えた人でなくてはわかるまい。

感染して、闘病して、看病して、感染を恐れて、防御して、蔓延しても「自分たちはほぼ大丈夫だ」から、「行きたいところに行く」「会いたい人に会う」「やりたいことをやる」。行動制限はもううんざりだ!どうせ、ちょっとヤバい風邪だろ。

僕らはたぶん、オミクロンでは死なない。だか、確実に毎日誰かが亡くなっていく。施設のお年寄り、基礎疾患を持つ人。ノーガードで突っ込むと、そういう人々から死んでゆく。結局、コロナで死ぬ人はみんな死んで、残された人々にとってはただの風邪、になるのだろうか?

どう対処すれば良いのだろう?イベントをやめ、学校も閉じれば良いのか?

老人の施設に出入りする無症状感染者をゼロにする。関係者の頻回検査をやるしかないのではないか?それは当然既に行われているのではないか?

などと、考えてしまう。

そう、結局、なんだかんだ言っても、「ハーバーマーケットに出られない」こと、「息子と娘に行く気がない。」ことが、大きい。

そこに商売があれば、kaffaは行く!でも、老夫婦と犬たちだけじゃあねえ~、というのもある。

でもやはり、商売抜きでも、夫婦だけでも、佐渡島が好きです。必要なんだと思います。

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