kaffa佐渡計画

動き出してしまった「kaffa佐渡」計画。

ずっと佐渡に拠点が欲しいと思っていた。犬たちを連れて、いつでも、誰とでも、気がすむまで滞在できる建物を。

だが、しかし、頻繁に佐渡へ渡るのも交通費、滞在費などを考えると、経済的に無理だとも考えていた。フェリー代だけで、往復50000円(車1台、大人2人、犬3匹、2等)なのである。

元々、佐渡へのご縁は、ECのハーバーマーケットに出店するという「商売」だったし、やはり、商売を絡めなければ、やすやすとは動けない。吉祥寺と同じである。交通費を稼ぐための商売。

だから、佐渡の拠点は、商売もできる必要があった。

移動トレーラーで、佐渡のあちこちで移動コーヒースタンドをやるプランもあった。冬、佐渡の北の方の誰も居ない海辺で荒れ狂う日本海の波の飛沫を浴びながら、コーヒーを淹れる。これをドローンかなんかで動画を撮って、InstagramYouTubeで流す。佐渡中のあちらこちらで、四季折々、その風景と音とコーヒー淹れるだけの動画チャンネルは、うまくやればそこそこ人気が出るのではないだろうか?そうすれば、もう少しコーヒー豆が売れて、佐渡往復のお金の心配は要らなくなるのではないか?とかも、考えました。これは、佐渡の観光振興事業のひとつとして助成金すら貰えるかも、とまで考えました。

でも、kaffaバスは売ってしまったし、新たに移動販売車兼キャンピングカー(犬3匹付き)や、ドローンを買うみたいなのが可能な資本家ではないので、机上の空論だし、そもそも、それをやりたいのか?と自問すると、やりたくはない。そこでコーヒー淹れるのは良いけど、撮影してどうのこうのというのが、マーケッティングみたいなのがやりたくない。

では、オーソドックスに、どこでも良いから拠点でコーヒースタンドやれば良いじゃんと言っても、コーヒースタンドでコーヒーを普通に売って、佐渡汽船のフェリーに乗れるか?ECとか、イベントならともかく、例えば、佐渡のひとけの無い海も見える山の中に、ちょうど良い拠点を手に入れて、そこでコーヒースタンドをやっても、お客さんはたぶん、来ない。

イベントでもない限り、コーヒスタンドで佐渡汽船のフェリーには乗れない!のだ!

佐渡汽船のフェリー代を軽々と稼ぎ出す商売が可能で、犬3匹が一緒に住めて、海が見えて、我々にも支払える家賃で、欲を言えば、近くに民家はなく、佐渡に、できれば南佐渡に貸家が在れば。というのが、kaffa夫婦の長年の欲望でした。

そんなうまい話があるわけがない!じゃないですか?

ところが、あったのです。

「人里離れた」という条件以外は、うってつけ、というか、面白い建物が、あったのです。

小木港まつりが終わり、今回佐渡最後の夜。お世話になった家族の晩御飯に混ぜて頂く。

話の中で、「どうだろ?あそこ。」

「あ、あそこでコーヒー屋やれば良いじゃん。」「一等地!」「みなと公園正面!」「フェリーターミナルから見えるし!」「朝、モーニングとかさ、朝からやってるお店無いから!」「家賃もたぶん、安いよ!」

そんな建物あったっけ?という感じだったのですが、話を聞けば聞くほど、やりたくなってきました。その建物、関わっている佐渡の人たちの話。

で、翌朝、帰る日の朝、さっそく、その建物を見に行きました。中を覗いて見たりもしましたが、奥に深い建物で、全貌は不明。一見、崩れかけた古いお店。2階部分を大きく覆う巨大な古いブリキの看板が目立つといえば目立つ。

建物正面が、街路樹の銀杏の木によって目立たないけど、確かにあった。

が、その時点での僕の印象は、「難しいな。」だったような気がする。これをkaffaなりのお店に改造するのは大変だなあ、と感じた。その建物の外観には何の魅力も感じなかったからだと思う。

それから、友人が鍵をもっている方を電話で呼んでくれて、1時間後には中を見ていた。一階は、とにかく奥に深くて、後から送って頂いた図面によると、間口約8m、奥行約18mの建物で、2階は間口4.5m✖️8.5m位の広さである。

2階に登って初めて、この家が元々かなり古い家である事がわかった。2階を見て、僕は、「ここでやりたい」と思ったような気がする。

二階の港側。看板の裏。ここを窓にしたい。
2階の反対側。窓から、奥のブロック積の屋根の上に出られる。

たぶん元々は、細長い敷地に建つ小さな二階屋だったところへ、時代が下がって、後方にブロック積の建物、さらに、下屋を継ぎ足して作られているように思われる。最終的には敷地全部を屋根で覆う形になっている。ブロック積の壁と、崩れそうなコンクリート天井の部分は面白いと言えば面白い。その他は、木の構造に外側にトタン類、内側はボロボロの化粧合板の壁。隙間は色々ある。

店の奥
奥の片側はブロック積。左手に下屋。

焙煎人は建物にうるさい人である。その彼女が、初見で「決めた」のは人生2度目の事だそうだ。

改装計画ではなるべく、古い家の構造を剥き出しにしていきたい。現状では、2階では見えるが、1階では古い家の構造が合版と天井ボードとトタンに覆われて隠されている。

改装の手始めとしては、これらを剥がしていく事から始めるつもり。少なくとも、これには費用は、ほぼかからないし。

来春までの計画では、一階の手前の部分をカウンター付きの店舗にする。2階を居住空間にする。

2階妻壁を覆う看板を撤去して、新たに妻壁を造って窓にする。これは、少し大変な工事かも。しかし、これをしないと、2階からせっかくの港が見えない。海からの朝日を浴びる窓は、ぜひ欲しいから頑張りたい。

お店は、コーヒースタンドとして、コーヒー淹れたり、豆を販売したり、モーニング等の軽食や、おやつを提供したり。基本的にテイクアウトで、目の前のみなと公園で、フェリーに持ち込んで、等のご利用を考えている。

6時からオープンで。

コーヒースタンド以外には、「ちょっとした佐渡のお土産物屋」を考えている。

佐渡で物作りをしている方々のもの。縁のある、量産品ではない、土人形、藁細工、竹細工、陶芸、木工品、加工食品、コーヒー豆などを展示販売したい。フェリーに乗る前に「ひとつとして同じ物のない佐渡土産屋」で。

一階は、コーヒースタンドだけとしては、かなり広いので、もし、計画がうまく行くようで資金のメドがたったなら、客席やギャラリースペース、イベントスペースみたいな空間にしていきたい。

今のところ、色々と「竹」を使うつもりでいる。内外装、什器、家具など。

竹は刈ってくる労力さえ厭わなければ、タダ同然で手に入る。

10年以上前、佐和田の商店街のお土産物屋さんが閉店セールしていた。そこで、格安で買った佐渡の竹ザル。僕は別に民藝品に詳しくはないけど、あのザルは好きだった。

佐渡は昔から良質な竹が育ち、竹細工等の竹工芸が盛んだったし、小木も竹細工の中心地であったらしい。

古ぼけた「小木竹工センター」という看板もある。いつも気になっているのだが、開いている気配がない。調べた所、今小木で活躍されている竹細工工房さんが一軒あるだけだ。

佐渡の竹工は、これからの時代、復興すると思う。ただ同然の美しく丈夫で軽く、加工も容易な天然材。再興に必要なのは、技術、道具の継承と、若い意欲ある人々である。たぶん、需要は増えてゆく。「竹細工やりたい人」も僕の周囲には増えているように見える。

佐渡には、少なくとも10年以上前から、「佐渡バンブークラブ」という竹愛好家の皆さんが居る。アースセレブレーションで、毎年のように、竹のシェルターを作ったり、素浜海岸で、竹の大人と子どもの遊具を作ったり、両津の公共スペースの外観を竹で覆ったり、竹の楽器作り等、「竹大好きなんだろうなあ」という人たちが居ます。

kaffaがアースセレブレーションのハーバーマーケットで竹のお店作りを始めたのも、彼らが作った竹シェルターに刺激されたからです。

彼らはたぶん、竹を使っていろんな事ができるのだろう。これから佐渡で色々教えていただきたいと思っています。

竹にこだわる事で、佐渡の竹工芸再興に、少しでも貢献できたら、と思う。とりあえず、店の奥は、竹細工作業場にはできそうなので、僕も竹ザルに挑戦するつもりです。

kaffa佐渡は、年中できない。たぶん、年間45回位しか往復できないのではないか?我々夫婦で営業できるのは、たぶん年間150日に満たないだろう。

我々の留守中は、「誰かやりたい人が居れば、やってもらう。」スタイルで考えている。コーヒースタンドやってみたい佐渡在住の人。誰でも良いわけではないけど。自分の作品展示しながら、コーヒースタンドやりたい物作りする人とか、もちろん、マイクロロースターさんたち。コーヒー好きな人たち。とにかく小木の一等地?で何かやりたい人たちが気軽に使えるスペースとして開放できたら良いなと思う。

若い人にとって、これから佐渡でどう生きるか?「半農半X」「半芸半X」「半漁半X」「半遊半X」。結局の所、「必要なお金を稼ぐ為の半X」をどうするか?その時、小木の店はアイデア次第で、面白く使えるのではないか?

あとは、ぜひ僕が佐渡に来て欲しい人たちが何人も居るので、その人たちが佐渡で楽しく商売して、佐渡汽船のフェリー代、美味しいお寿司代を稼ぎ出しながら、短期間でも滞在型商売が可能なように整えたいなあ、という願いもある。

佐渡の人たちをその人たちに紹介したいし、その人たちを佐渡の人たちに紹介したい。そのような拠点にしたい。

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