佐渡島 その1

佐渡島について、いろいろと書きたいことがあるのだけど、あり過ぎてまとまらない。毎年、佐渡島から帰るとそう思いながら、日々に追われ、書けない。

僕と焙煎人の中には、ある程度は記憶として刻まれているから、問題はないのだか、なぜ書きたいのか?

佐渡島ファンとして、佐渡島の魅力をできれば伝えたい。僕たちの経験を語ったところで、佐渡島に魅力を感じ、行ってみよう、住んでみようと思う人がいるのかどうかはわからないけれど、1人くらいはいるかもしれない。

恥ずかしながら白状すると僕は、「佐渡島の神に愛されている」と思ってきた。9年前の初めての佐渡島から、毎年毎年、必ず、必要なタイミングで何かが起こり、誰かと出会ってきた。手を差し伸べるように、佐渡島の神様は僕たちの面倒をみてくれた。毎年、「来年も来る。」と確信しながら帰る。

流石に、疑り深い僕は、去年くらいから、「今年は期待外れになるんじゃないか?」などと思うようになってた。期待‼️期待してはいけないと思いつつ、佐渡島の神様の今年のプレゼントは何だろう?などと頭の片隅をよぎる。同時に、期待外れを恐れる。

去年、期待外れの予感は外れ、やはり、佐渡島は特別だった。どのように特別だったのか、あまり覚えてはいない。ただ、佐渡の小さい友だちとより近くなれたのと、数少ない親友の家族と佐渡島で、それも鼓童繋がりで会えたのと、佐渡島のお盆に居させてもらったこと。生音の佐渡おけさをあちこちで聴いた。

佐渡島で多くの魅力的な人たちに出会う。僕はそのような人たちと直ぐに親しくはなれない。時間がかかる。気楽に仲良くなれたらいいんだけど。佐渡島では、基本的に流れのままに動くんだけど、kaffaの商売と犬たちを含む家族と一緒に流れるのも思ったよりエネルギーを使う。滞在中はいつもヘトヘト(だけど辛くない)状態だ。引っ込み思案が頑張るエネルギーはあまり残らない。

それでも、9回重なると、少しずつ、親しくなれる。人により濃淡があるし、その濃淡が揺れながら、全体的に深みを増す。佐渡島に住むあの人、この人。一年に一度佐渡島で会うあの人、この人。

佐渡島ファン、しかし、結局、人に会うために行くのだ。また会いたいから。

だが、やはり、人だけではないのだ。佐渡島という場所。佐渡という島だからこその人たち。風土。歴史。佐渡の風土の中で生まれ、数十年を暮らしてきた集落のじいさま、ばあさまたちによるその集落独自の民謡の笛、太鼓、三味線、唄、踊りなどの芸能。手作りの民芸品。いつまで、その本質を残したまま伝わるのだろうか?例えば、僕みたいな人間が佐渡の老人から何かを習ったところで、根がないのだ。仕方ないことだけども。

佐渡島では、食べるものがおいしい。新鮮な海産物とか米はもちろんだが、野菜もおいしい。また、この島の外食店にはまだ、きちんと料理する気持ちが残っているように見える。有名店は当然だが、ふつうの食堂の定食がうまい。小木の山本屋食堂は大好き。売る気があるのか不明な土産物屋の二階にある「大衆食堂」で、寅さんの撮影も行われたそのままの「レトロ」食堂。「どうせ観光客商売の成れの果て」という先入観から、全くの興味外だったのだが、去年初めて食べて、今年は3回行った。刺身定食と天ぷら定食と、天ぷら蕎麦しか僕は食べたことがないが、「カツ丼」もうまいらしい。去年と今年初の山本屋食堂は、他に選択肢がなかったから。うまいと思ったことはなかった。「ここしかないからしょうがない」という気持ちで入る。どう見ても「うまそうな店構え」ではないからね。で、何の期待もせず注文したものを食べる。ここを選んで入るくらいだから腹ペコなのでペロリと食べて出る。それまではそれだけだった。今年、送り太鼓の後、例によって他に選択肢がなく、佐渡で久しぶりに会う友だちと一緒に行った。その友だちは今年お父さんを亡くした。亡くなったお父さんは、何と寅さんファンクラブ会員番号1番で、寅さんの衣装を一揃え持つお人だったそうだ。

他のお客さんに奥さんが説明してる。「そう、ここに、こう都はるみさんが立ってね、こうやって手を振ったのよ。」

これも、山本屋さんは、別に大々的に「寅さん」に便乗してない。お客さんに聞かれたから応える。
「寅さんの食堂」とか、ロケ地だとか、当時のまま、だとか、もっと宣伝に使えばいいのに、とか僕は思ったけど、それが無いのがまた魅力。

友人の亡くなったお父さん、きっとあの場にいた。

その日、アースセレブレーションも終わり、お盆からずっと忙しすぎたらしい山本屋食堂。奥さんがほぼ一人で厨房でご飯を作っておられた。それまではパートのおばちゃんたちが何人か働いていたのだが、その日はパートさんたちは疲れちゃって休んでいたらしい。奥さんは、一人でてんてこ舞い。ちょうど僕らが入った時には、どこか近所の現場で働いているらしい職人さんたちの一団に、注文の料理がちょうど行き渡った頃だった。そこに我々8人、さらに、二人連れが2組が続けざまに入店。「お待たせするけど…。」と奥さんが言う。みんな全然急いでないから、広い座敷でのんびり待てる。それまでは、来て食べて出て行くだけだったけど、その日は、奥さんの孤軍奮闘を見ていると何とも言えない良い気分にさせられてしまった。

焦りとか、苦役感が微塵も感じられない。かといって、ダラダラやってるのではない。きちんと仕事をしてた。

そんな仕事を見ていると、「あー、この人はすごい。」と初めて気がついた。

そして随分待って料理が目の前にある。なんの変哲もない刺身定食。刺身はまあ、佐渡だから美味いのは当たり前。定食につく小鉢や漬物や味噌汁が、何だろう?疲れた身体に何の違和感もなくすっーと入ってくる。今まで気がつかなかったのも頷けるほど、自然に。おばさんにとっては、毎日のルーティンだったのだろうけど、ルーティンをきちんと出来るほどに、おばちゃんがこの仕事が好きなのがわかるような。

佐渡で小木に行ったら、是非にも「山本屋食堂」へ。本当に美味しいから。

毎年、佐渡島で過ごす長くてもの2週間。最短は、6日間だったな。商売はアースセレブレーションのハーバーマーケットで3日間。3日間の朝から夜中までのコーヒー屋出店。喫茶部門kaffaの仕事のダントツ稼ぎ頭イベント。とは言え、経費も大きく、手間と準備にかける労力もいっぱいいっぱいで、自分たちの人件費を算入すると真っ赤みたいなイベントなのだが。

佐渡でkaffaに同行した僕を若い頃から知るほとんど全ての人が言う。「お前がこんなに働くのを初めて見た。」

佐渡島ではやりたいことがありすぎるからだろう。働かざるを得ない。僕は、「自分が」できるだけ居心地いい店がいい。特に佐渡島のECは、長丁場なので、その思いは強い。

と、ここまでなんとか書いたけど、長過ぎるので、続きはまた。

夏しか知らない佐渡島。冬にも行きたい。カニとブリとイカといろんな魚!食べたい!

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